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2018年7月17日 (火)

大きなワイングラス

 アベノミクスではなぜトリクルダウンが起きないのか?
 週末の「初耳学」で林先生がシャンパンタワーを使って説明しており、大変わかりやすかった。
 ただ、その映像をできればもう一度見たいと思い「トリクルダウン」でググった所・・・パクリ先というか、彼のネタ元がすぐ分かった。
 偉いのは林先生ではなく、この図を作った人だ。
Photo_3
Photo_5 
 とは言え。
 林先生は「上のワイングラスが大きくなったのでトリクルダウンは起きない」といっただけで、そもそも「なぜ格差がそんなに拡大し、上のグラスはなぜそんなに大きくなったのか?」についてはコメントしていない。
 また・・・この図についても、1つ決定的に抜け落ちている視点がある。
 第一に、非正規雇用を助長した小泉改革に続き、格差社会を決定づけたのはアベノミクスの円安誘導だろう。
 「初耳学」と同じ日の朝のNHK討論で、藤井裕久さん(民主党政権で財務大臣)が言っていたとおり「自国通貨を弱くする政策は邪道」であり・・・まさに「アベコベノミクス」。
 円安になることの最大の享受者は大手の輸出産業と見るのが一般的だが、昨今の大企業はすでに大部分を海外生産しており、その意味ですでに円安メリット神話は崩れている。
 しかし、その新たな享受者がいる。
 筆頭は後でも述べる海外投資家である。
 一方で円安は当然、原材料を輸入する中小企業を圧迫する。日本企業の99%は中小零細企業。総所得の8割はそこからの給与となっている。大手中小問わず「正社員になれない人」が増える傍ら、円安により前にも増し苦しくなった多数派サラリーマンの給与は上がらず。
 他方では円安により、輸入食材などなどを購入する家計は一般的に苦しくなる。
 ある車会社の重役が「最近の若い子は車に乗らない。何かいい方法はないか?」と言っていたが、「乗らない」のではなく「乗れない」のであって・・・自分たちのような大手輸出会社含む社会構造への鈍感さたるやはなはだしい。
 第二に上のワイングラスが大きくなった最大の要因は、異次元緩和と株だと思う。
 中央銀行が発行通過量を調整すれば景気対策できると言ったのは、数十年前に流行ったマネタリストと呼ばれる人たち。しかし、以前にも書いたが、お金が国境を越え世界をかけめぐる現在では、ほとんどこの理論は通用しない。
 異次元緩和されたお金の行き先は株や外債。
 外国人投資家も円安のうちは日本株を買う。
 投資で大儲けする人々、また配当でそれなりに潤う人々もいるが、株など持たない大多数の庶民の生活はおきざりにされたままである。
 経済成長下のデフレはそんな感じで起こっているのであり。
 株が高い=景気がいいという神話もすでに実態がないものになっている。
 
 さてそんな中での日本の未来だが。
 恐らく、日銀や年金機構は今後も覚せい剤中毒者の如く、株を買い続けなければならないだろう。もし止めたら株暴落→連動し国債暴落→金利高騰(→インフレ)と続き、かくして日本経済は「デフレ脱却」??? 日銀マネーで日経EFTが大量に買われ、すでにいくつかの企業が実質的には国営企業化?されているという、笑えない噂もある。
 もう1つ、図で表されていない重要ポイントは「ワインボトルの中味の正体」である。
 よく言われる話だが・・・国の借金はすでに1000兆円超。つまりワインとして見えるもの相当部分は下から巻き上げたものではなく、税収で利息を払えなくなるほどの借金で買ったものだ。
 
 言い換えれば、ワインは図のように循環はしておらず、「個人なら自己破産」の状態で借金として供給されているという訳である。
 関係者の本音は「稼げるだけ稼いで、後は野となれ山となれ。だって他にいい方法ないじゃん」て感じ??? ・・・これまさに、バブルの頃にそっくりである。
 ついでに言えば、麻原の公開処刑前夜(西日本大豪雨さなか)の「赤坂自民亭」のことを、ほとんどのマスコミはスルーした。偶然かも知れないが、先の藤井元財務大臣の放送も、「邪道」発言の途中で突如終了したりしている。
 マスコミや司法がほぼ信頼できなくなっている今の状況は・・・第二次大戦前にも似てると言える。

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