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2018年3月28日 (水)

ウソつきな正直者

  ●3学期の会話●

 母 親 「3学期終わったけど通知表は?」

 子ども 「もらってない」

 (翌日)

 母 親 「朝日小学校に聞いたら渡したと言ってるわよ」

 子ども 「なくした」

 (一年後)

 母 親 「去年の通知表、押し入れの奥から出てきたじゃないの!

 しかも算数”1”が”4”に改ざんされてるわ、一体どういうこと?」

 子ども 「理由は言えない(実は成績が上がらないことで、家庭教師のあきえ先生が首になることを忖度)」

  ●ディベートなるもの●

 大昔の松下政経塾時代、ハーバード・ビジネス・スクールのメソドというのを使って、ディベート練習をさせられたことがある。

 ケーススタディには例えば「タイに大丸が進出する」(←まさに大昔のトピックだが、当時は資本主義の手先、経済侵略みたいに言う人が少なくなかった)などなどの話があり、利害関係者に分かれておのが正当性を主張する訳だ。

 配役決めの際、面白半分にレフティには「大丸」、逆に資本の手先キャラに進出反対派をやらせてみた。

 市民運動キャラが大企業の論理を振りかざし「タイが先進国になるチャンス」と持ち上げ、「データをよご覧ください。百貨店ができ人が集まることにより道端の屋台もかえって儲かるようになります」となだめすかし・・・挙句には「お前らいい加減に時代の流れを理解しろや」と怒鳴ったり。

 一方では権力や資本主義の権化みたいな奴が、「タイには百貨店ましてや外国資本なぞ要らない。そんなものができたら道端の屋台のおばちゃんたちの生活のみならず、タイ文化そのものが駄目になる」なぞと反論したりする。

 のだが・・・中にはどちらの立場にたっても相手をみごとに論破してしまう「優秀」な奴もいた。

 その後、そいつらの雄弁な主義主張がイマイチ信用度を欠くものに見えてしまったのは言うまでもない。

  ●陪審員は見た●

 さて。

 昨日、佐川前国税庁長官の証人喚問があったが、佐川氏の「優秀」さはそうした「ハーバード」クラス、しかし必死で主張していることは冒頭の「小学生」レベルの内容だ。

 彼が「刑事訴追の恐れ」と逃げた回数は朝日新聞では40回超、読売新聞には50回とある。

 心理学者やなんとかリストたちは彼のことを「ウソをつく時、断定口調に」等々と分析しているが、結局は証言拒否理由である「刑事訴追」云々(でんでん)を「天下り先が欲しいので(内閣が吹っ飛びかねないので)答えたくない」と置き換えるだけだから、1億2千万人いる「陪審員」の少なからずには、比較的容易に真実のありかが想像できたろう。

 この元・長官様のような人を、ウソつきな正直者(以下「HL」」:オネスト+ライヤー)という。

  ●饒舌の嵐●

 もし機会があれば、是枝監督(先日妻が「無戸籍問題」で対談)に、彼を主人公にした映画を撮ってもらいたい。

 タイトルは「饒舌」(遠藤周作「沈黙」の反対)、あるいは「財務官僚S」ってな感じ?

 「あの」福島に生まれ、身長155センチ??。中学の時に父親がなくなり兄たちが学費を工面。高校時代のバレンタインデーでは(絶対もらえないだろうからと)女子生徒から新聞包みのいたずらチョトレートでからかわれたりもした。が、何かを払拭しリベンジするかのように勉学に励み二浪後、東大経済学部入学。勢いづいた「上昇志向」はそこでも止まらず国家公務員試験、しかも財務省に合格した。そしてその後も省内で有名な「恐竜」に成長 (しかし人生まさかの坂)などなど・・・彼の人生はまさに絵にかいたような内容だ。

 (充実充実充実)

 そして、その脇を固めるのはもちろん籠池さん・首相夫妻、麻生大臣ほか、「作りこみすぎ」とも思えるキャラクターだ。

 映画前半のクライマックスはもちろん、自民党からも財務省からも梯子を外されたのを分かっていながら主人公が「悲しい美学」に殉ずる、昨日のシーンである。

  ●官僚の浅知恵●

 ところで。

 そんな多士済々の脇役陣の中、もう一人忘れてはならない人物がいる。

 官邸経験者である江田憲司氏らが指摘する、ストーリーの「司令塔」役を果たしてきたであろう「彼」。

 「スーダン撤退」「国民栄誉賞」「地下鉄サリン犯らの死刑」などなど事態がやばくなった時には露骨に話題をそらし、先日の喚問でもトップバッターに「元アナウンサーの丸川珠代」、中盤の公明党には「自殺者への思い」を質問をさせるなど・・・あまりに見え見えな情報操作を画策しているのも、おそらく「彼」らだろう。

 官僚の浅知恵を絵に描いたような・・・「HL2号」の登場である。

 その「彼」が2015年9月の3日間に大阪に残り諸調整をおこなったのではという指摘が(これまた一見「HL」な)首相をたいそう慌てさせている。

 https://galapgs.com/economics/politics/domestic/abe-panic/

 果たして、国民はそこまでバカか賢明か?

 あるいはバカに見えててそうでもないのか?

 「彼」との闘いは今日も続いている。

 ●どんでん返し?●

 3月25日版毎日新聞「時代の嵐」では、藻谷浩介さんが「”知らなかった””知らなかったはずはない”の応酬をいつまで続けるのか?」「”仮に知らなかったのなら、そっちの方が問題だ”という議論をなぜしない?」と言っておられた。

 それはそれでなるほどだ。

 が・・・。

 むしろこれから疑われてくるのは「”首相が妻をかばっている”のではなく、(教育勅語小学校実現をきわめて本気に望んできた)首相を(国中からたわけ者扱いされてまで)かばってきた妻」という、どんでん返しなストーリーかも知れない。

 「1号」「2号」は多分(自分ではどんなに頭がいいと思っていても)ただの凡人グループ。

 が、首相にもならんとする人、党のルールを変えてまで一族の念願を達成しようとする人は(たとえ勉強なぞ全くできなくても)そんじょそこらの「3号」じゃない、という結末を迎える可能性は低くない。

 不支持理由のトップが「人柄を信用できない」というのはいかにも痛烈で、かつなかなか意味深である。

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2018年3月23日 (金)

同年代官僚(どうねんだいかんたち)の悲哀

 森友事件について。

 当然のことだが「書き換え」の首謀者と、事件そのもののそれは全く別なお話。

 前者は財務省内の話かもだが、後者は(奔放な妻ゆえのお話、また「忖度」などではなく)「然るべき有力者からの指示」によるものである可能性を感じざるを得ない。

 まず。

 Not ONLY 佐川 BUT ALSO 迫田。

 迫田は先の参考人招致を「総理とは普通の打ち合わせをしてただけ」と難なくかわしたが・・・そんな話、もう誰も信用せんよ(笑)。

 (ちなみにこれが当方の1年前の指摘↓)

 http://idoido.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-0832.html

 そして恐らく・・・首相秘書官・今井ももう逃げられん。

 同職経験者の江田さんが今日、とてもナイスな質問をしていたが・・・佐川には是非、証人喚問で正直に全てをぶちまけてもらいたいものだ。

 まあ。

 権力に遠く、しかも引退間近の身としては。

 残された???国交省・森氏、農水大臣となった(元・通産省)齊藤氏らの友人知人には、同期代表として、彼らの分もお国のために頑張ってもらうことを願う。

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2018年3月13日 (火)

多言語HPのすゝめ

 仕事(世界遺産+南北近畿振興)上、

10程度の言語による観光系HPを

(未完成分ふくめ)一応4つ運営している。



  世界文化遺産地域連携会議 www.worldheritagejpn.com

  北近畿・琵琶湖 食と歴史の回廊 http://northkansai.com/

  紀伊山地の霊場と参詣道入門 http://kii-m-r.com/

  歴史街道推進協議会 http://www.rekishikaido.gr.jp/

  来年度に作りたいと思っているのは、

12月に東京で開いた「紀伊山地三霊場フォーラム」

(吉野・熊野・高野の宗教界重鎮が参加)の内容を

11言語で起こしたそれである。

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の最大の特徴は
「仏教・神道・修験道の3つの聖地がこのエリアに共存し、
それらが相互に古道によって結ばれ、現在も活動している」
点にある。
 しかし、大変広域な上に情報発信主体がバラバラ
(3県、23市町村、鉄道ではJR東海・JR西日本・
近鉄・南海・・・)なため、
(高野山・熊野古道といった個別情報は発信されても)
遺産全体としての登録コンセプトがあまり
理解されることなく今日に至っている。


 そうした問題意識の下で、同シンポジウムを企画したが、
対象者は数百名のレベルにとどまらざるを得ない。
 その意味ではイベントそのものを実施すること
以上に、その内容をいかに事後告知するか
「肝」になる。

 

 さて、わが国の大多数の世界遺産や観光地は、
主に東アジアから外国人観光客を誘致している。
 そのような中にあって「紀伊山地の霊場と参詣道」は
欧米豪からの外国人観光客の誘致に成功している
先進事例の一つとなっている。
 観光での国際的な賞も受賞している田辺市
くまのツーリズムビューローや
フランスでの「高野山ブーム」などがその最たるものだ。

 

 ちなみに。
 手前味噌ながら・・・高野山を多数のフランス人が
訪れるようになったきっかけは
当方が15年前に実施したプレスツアーである。
 ツアーに参加したル・モンド記者(故人:下P)
が執筆した書籍(高野山の文化・生活を紹介)が
同国において準ベストセラーになって、
以降、それを読んだ多数のフランス人が同遺産を
訪れるようになり、今日に至っている。

 

(彼らの存在なしに、同地の宿坊経営は

立ち行かない・・・と言って下さる人もいる)



 



 
Photo

 (パリの日本ブースで再会!)

 
 このことの最大の教訓は、
欧米豪からの(文化度や知的レベルの高い)
外国人観光客を迎え入れるためには
「通り一遍の観光情報」では駄目で、
相当にレベルの高い文化的情報の提供が不可欠だ
という点である。
 今回事業はそうした高野・田辺などの経験や
ノウハウを踏まえた上で企画されており、
それを外国人宿泊客の増加につなげていく
ことには一定の勝算がある。

 

 もちろん、国益の観点から当然意識すべきは
2020年の東京オリンピック・パラリンピックである。
今回事業もその前年までに多言語HPを立ちあげることを
目指している。
 日本への世界の耳目は2019年頃より急速に高まる
ことが確実視され、
わが国にとってはその時期こそが
「東アジア偏重インバウンド」から脱出する
絶好のチャンスなのだが
現在の所、そうした認識・行動が大きなうねりに
なっているとは言い難い。
 そのような中せめて、
欧米豪重点のインバウンドに成功している
数少ない世界遺産であり、
かつ全体コンセプトのアピールが急務な
「紀伊山地の霊場と参詣道」情報くらいは
(英語やアジア言語だけではなく)独・仏・スペイン・・・
等々の欧米言語で発信できるようにしていきたい、
というのが当方の思いだ。

 

 成果の目論見という意味では、
英語は決して世界人口の大多数を占める言語ではない
(例:最大人口を持つ言語圏はスペイン語)。
 しかしながら、欧米言語の情報発信に取り組んでいる
国内地域はまだ少数であり、
そうした国々の国民は英語を自ら翻訳する以外に
日本情報にアクセスする手段がない。
 そんな状況の下、
日本への注目度が自然と高まっていく2019-20に
このような事業(質の高い情報×各母国語での発信)を
実施する地域が(紀伊山地に限らず)
比較優位に立つことになるのは当然だ。


 当方的にはできれば・・・来年再来年には
法隆寺を対象に同じような事業をしたいと考えている。
 世界遺産第1号、
また大阪(天王寺駅)から20分の立地にも関わらず、
一般的には「京都の奥の奈良のそのまた奥にある寺」
くらいにしか思われておらず、
「これじゃ、あまりにもったいないでー!」と
今、地元をけしかけ始めた所である。

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2018年3月 5日 (月)

既に亡国の民たり

 2018年3月5日付毎日新聞「風知草」に、特別編集委員の山田孝男さんが書かれていた。

 「原発ゼロ・自然エネルギー法案は今週、立憲民主党が国会に提出する。法案反対の電力系労組の働きかけもあって希望の党や民進党は乗らず、否決必至」

 これを読み、まず思い出したのは、かつて妻が神戸で民主党の候補者だった頃のことである。

 当時総理の野田さんが「原発ゼロを目指す」と発言した所、電力労組関係者から「その(原発ゼロ)立場を表明するなら応援できない」との話があったらしい。

 彼らがそうした申し入れをしたことがけしからんとは思わないし、電力を生業にする関係者が「総理が仰るなら、はあそうですか」と言えるはずもなく、その意味では普通の範疇の行動だ。

 が。

 驚き呆れたのは、その瞬間、県内民主党衆議院候補者の少なからずがそそくさと尻尾をまき、チラシ等から原発ゼロに類する表現を削除してしまったことである。

 ・・・議員になれれば何でもいいんだな、この人たち(溜息)。

 時が流れ。

 「希望の党」発足時、小池さんの「踏み絵」に対して、彼らの少なからずは「変節」という批判をあびることになったのだが。

 実は、彼らの少なからずは別に「変節」したのではない。

 以前、松下政経塾関係者として、「本当は自民党に入りたかったが、枠やコネがないので(民主党議員として)革新を演じている輩」が少なからずいるのを嘆いたことがあるが。

 そうした面々含め、彼らはただ議員でいたいだけで、そもそも政治家にとって最も肝心な「節」そのものが初めからないのである。

 与野党問わず政治家には素晴らしい人も多いが、そうでない者も結構な割合で含まれており・・・国民的にむしろ認識・驚嘆し、憂慮すべき一つはそんな点だと思う。

 彼らのような人まで含めてパッチワークや数合わせで政権をとっても長続きするものではない。これがこの間の歴史の教訓でもある。

 一方で。

 野党ばかりではなく、安倍政権や今の官僚たちも最低最悪だ。

 原発問題だけではなく、すでに詰んでいるにもかかわらず籠池氏を(自分に不利な証言を出されてはかなわないと)拘置し続け、一方ではインチキデータで法律を通そうとする首相。

 税をめぐる虚偽供述を自らの保身のためにおこない国税庁長官に収まる人物などなど・・・まさに発展途上国、戦前の村役場以下のレベルと言っていい。

 ちなみに。

 「風知草」に、田中正造と内村鑑三の言葉が引用されていた。

 足尾鉱山事件を告発した田中は帝国議会で「亡国に至るを知らざればすなわち亡国」(何が亡国か分からなくなった時、既に国は滅んでいる)、と述べた。

 また内村は「亡国とは精神の問題。商業が詐欺に、教育が知識の売買に、政治が政権の略奪に堕したような国は既に亡びている」(「既に亡国の民たり」)と言ったそうだ。

 ・・・今わが国が「亡国」状態にあること、またその主たる犯人が与野党・官僚含め国の主要部にいることを想起するのは、決して自分だけではあるまい。

 最後に、少し私事を。

 先々週、親父が亡くなり、また先日59歳になった。

 安部さんは少し上、国税庁は同学年。また時が流れて、国会議員の多くは自分より年下の年代になってしまった。

 なんだかんだて焼け跡から立ち上がり、それなりの日本を作ってきた先輩世代に対し、わが世代が「亡国」的役割しか果たせていないことには忸怩たる思いがする。

 ・・・この世代、既に亡国の主?

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