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2018年2月15日 (木)

少年よ、アルマーニに学べ

 銀座の小学校の制服をアルマーニにするという話が問題・・・いや話題になっている。

「なんで小学生に制服が必要なのか?」という根本を脇に置けば、日本社会への一つの大きな問題提起ではある。

 なぜなら、昨今のわが国は人口減少による人手不足で、単純労働者を中心に賃上げなしには人が集まらない時代に転じており、人件費などコスト競争に明け暮れてきた社会が、大きな転機に直面しているからである。

 途上国の追い上げに人手不足が加わる中で、明らかになってきているのは、旧来から日本が得意としてきた「いいものを安く」型競争の行き詰まり。言い換えれば今回をラスト・チャンスに、「すごくいいものを高く売る」アルマーニ的視点の社会を目指さなければ、この国にはもうろくな未来は待っていないということになる

以下、古賀茂明さんの「安倍政権では民主党政権下の実質賃金を上回れない現実を報じないメディア」という論説

https://dot.asahi.com/dot/2018021000018.html からの引用である。

 

① 欧州先進国では政府・企業が20年くらいをかけ、高賃金と短い労働時間という「高水準の労働条件」を前提に、国際競争に勝ち抜く企業を作るという抜本的難題に取り組んできた。そうして生まれ変わった国の特色は「人を大切にする社会」を目指す。人が少ない=人は貴重=労働条件は高くて当然という図式を前提に、高い労働条件を提示できない企業は淘汰されて当ということになり、それでこそ先進国という感じになる。

 

 ② 対して「いいものを安く」という日本企業の哲学は完全に途上国型。この哲学での成功体験があまりにも大きかったため、日本では低賃金・長時間労働がはびこり「良いもの、他人と違ったものを一円でも高く」という哲学が定着しなかった。トヨタが高級ブランドを確立しようとレクサスを作り、30年近く頑張っても販売台数がドイツの3大高級車ブランド(ベンツ・BMW・アウディ)の半分にも届かないのがいい例だ。

 

③ 自民党政権と経団連企業は人口減少が確実であるにもかかわらず、それに対する備えを怠り、人口減少に転じた後も労働条件を上げるのではなく、請負や派遣を拡大して労働コスト削減で競争力を維持しようとしたしかし、日本は以降も家電などなどで韓国・台湾・中国ほかに連戦連敗。そうしたどうしようもない状況の下、繰り出されたのがアベノミクスの円安政策だった。

 

 ④ 日本企業の業績は好調とされるが、それを支えているのは円安と海外経済の好調さ。民主党政権時代1ドル80円だったのがアベノミクスで120円まで下がったが、それが意味するのは国際競争的観点では日本製品のダンピング。報酬面では日本人労働者のそれがドル換算で3分の1下がったということに他ならない。

  (円安政策は国際的に見た労働コストを一気に3分の1カットする劇薬であり、これによって輸入食料品が高騰し、労働者の生活は急激に苦しくなる。労働者の生活水準を切り下げ企業利益を確保するという展開である)

 

⑤ 実質賃金が一向に増えないことは日本が「先進国ではない」ことの証。国(経産省)の政策の少なからずは(天下りポスト提供の見返りという意味もあり)経団連企業の要望をただ具体化したものだが、経団連企業の経営者の多くは高い賃金を払っても儲かるビジネスモデルなど思いもよらない。ひたすら従来のビジネスモデルの維持を前提とした労働コスト削減のための政策ばかりを要求し、その結果が今日の円安政策となっている。こうした経営者が日本の産業を牛耳っている限り、日本が「人を大切にする」先進国になるのは難しい。

 ⑥ 安倍政権は「もう少し待てば賃金が上がります」という詐欺的な言葉で何とか批判を抑え期待をつないでいるが、もちろん5年待っても実質賃金が上がることはない。総理が経団連に3%の賃上げを求めるなどのパフォーマンスをした所で、彼らは依然として途上国型の価格競争をしており、円高で競争力が失われるのが怖くて賃上げなどできない。加えて、2019年に消費税が2%上がれば、増税分も超えて賃金が上がることは考えにくい。

 

 

⑦ちなみに安倍政権の5年間で実質賃金がプラスになったのは2016年の1回だけ。あとは全部マイナスで、民主党政権の最終年の2012から4.1%も下がっているが、そうした点をきちんと伝えない「忖度報道」が続いている

 

 だからこそ日本、せめて東京のド真ん中にある小学校の子どもたちくらいは、小さいころから「アルマーニ」を着ても別にいい。

 そのよさに気づく子も、ドロドロに汚したり破いてしまう子もいるだろうが・・・「高いだけのことはある(ない)」という感覚や、「8万ならもっといいものできるかも?」みたいなセンスを身につけられるなら、通常の制服との差額などたかだか知れたもの、と言えるかも知れない。

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