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2009年5月12日 (火)

潮目

 50歳になってずいぶん心象風景が変わったのは、60代の人をあながち他人とは思えなくなってきたことである。

 昨日、(こないだまでははるかな年長であった所の)三木たかしが「たった」64で亡くなったのだが。

 なんだか40台の頃の、人生も完全に折り返し点過ぎたよね・・・という感じから、自分に残された時間があと数千日とかでも、別に不思議ではないなという風に感じるようになってきてしまった。

 (だから大人しくしていようと思うか、だからこそ若い頃以上にヤンチャに生きてやろうと思うか・・・は別)

 一方で昨日は、大学で同時代を過ごした「成功者」、小室(哲哉)氏・新田氏(野球部・奈良産業大元監督=湯舟氏の恩師)に厳しい判断が下った日でもあった。

 多くの人の人生も、50を過ぎればその「潮目」が大きく変化し始めていくようだ。

 

 なんてことを考えていたら・・・なんと夕方、小沢代表の辞任発表があった。

 僕は13日の党首討論が「その日」ではないか、と密かに想っていたのだけれど。

 以前から書いていたように、法的に問題はなくても、世間的にはそうでないことというのはままある、と言うか、その方がはるかに多い。

 「法的に問題がない」というだけではなかなか「説明責任を果たした」とは見なされない、というのは全くその通り。

 しかし、小沢代表は当然、そんなことは先刻承知の上で、相手が検察であり、民主主義を守る闘いであったからこそ「法を犯したか否か」にあれだけ拘ったのだろう。

 (そういった点が多くの人に正しく理解されるに至らなかったのは少し残念に思う)

 で、最終的には一連の流れを受け入れられた訳だが。

 辞めるタイミングとして小沢代表が見ていたのは、恐らく自身や「説明」に対する支持率云々ではないのだろう。

 この間、凝視していたのは、

 ①政策的には「自民党が(民主党がすでにほとんどを公表しているマニフェストに対し)どんな対案を出して来るか」

 ②政局的には「補正予算案(自民案)の提出後、自民党の支持率が上がるかどうか」

 また、党内組織的には③「分裂の危機にまで至らないかどうか」

  - といったことではなかったかと想う。

 もちろん、特に重要なのは①の「政策=国民の生活」。

 小沢代表は自民案の内容が「借金を積み上げるバラマキ」と「企業献金や世襲」に一線を引けないものだったことを確認し、(いわば相手にカードを出させた上で)それらを次期衆院選の争点にすべく、辞める決断をしたのではないだろうか。

 政策としての相違点を単純化すれば、様々な「セーフティ・ネット」を敷いていくとして、その財源を「ムダ遣いの排除」「官僚制度との戦い」に求めるのか、「消費増税+孫&子どもたちへのツケ」「官僚制度の温存(焼け太り)」で賄うのか。

 「政治とカネ」の問題では、「企業献金や世襲の禁止」にまで踏み切れるか否か。

 この間、実は政策的には完全に「責任政党」のポジションが入れ替わっており、そういったあたりの「争点」をより明確化することを、辞任を通して目指したのだろう。


 さて、民主党のこれからのことだが。

 第1に、今、名前が挙がっている人たちの中からなら誰が代表になってもいいし、代表選についても、別にやってもやらなくても大勢に影響はないと思う。

 幸いにして新代表候補と言われる人たちはそもそも「何が何でも権力を握りたい」という人ではなく、しかも全員が「再起組」である。

 そもそも「権力主義者」なら、わざわざ野党になるという選択肢を採る訳がなく、そう言った意味で1つの大きなフィルターがかかっている。各人にそれなりの組織的実績もあり、一方で政策的にはそもそも「マニフェスト」という縛り、というか「党」としての合意がとっくになされている。

 そういったあたりは、一党独裁の中で派閥間による「擬似政権交代」を繰り返してきた自民党的ノリでは絶対に推し量れない点であろう。

 第2に、民主党は小沢さんをきちんと遇すべきだし、「対・官僚」という点においてはその影響力をきちんと温存しておいてもらわなければ困る。

 第3に、当然のことだが、「検察(や、もしかするとそれを動かした麻生政権)との闘い」は徹底してやっていくべきである。

 2009年5月11日。

 その日をもって今回の衆院選の・・・というか、もしかしたら戦後政治や日本史そのものに関する「潮目」は大きく変わったのかも知れない。
 
 勇気ある、賢明な決断に心から敬意を表したいと思う。

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